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2004.11.27

農業助成金についての考え方

 バナナの関税ってどれぐらいかご存知でしょうか?
 実は、バナナの関税には10%と20%の2種類があるんです。
 2種類の税率がどうやって使われているかというと、これがなんと季節で切り替わる。
 夏は10%、冬は20%。
 どうやらこれは、ミカンやリンゴなど冬の出荷が多い日本の果物農家を保護するための制度らしいのです。
 つまり、冬にバナナが安いとミカンやリンゴの売上が落ちる、と。
 なんだか分かるような分からないような、ちょっと釈然としない感じです。
 では、日本人の主食、コメの関税はどうなっているのでしょうか?
 コメの関税は複数の種類があるというようなことはありませんが、物凄く高い。
 なんとコメの関税は490%です。
 例えばカリフォルニア米が10kg1000円だとすると、これに4900円もの関税がつき、5900円にもなってしまうのです。
 そのおかげか、コメの自給率は100%です。

 現在日本は、FTA戦略を促進するために、農産物の関税引き下げがいよいよ避けられない情勢となっています。
 中国のFTA戦略には目覚しいものがあり、着実に成果をあげつつあります。
 対して日本はと言えば、農産物を除外して締結したシンガポールとと、オレンジ果汁や豚肉で農林族ともめにもめてようやく締結にこぎつけたメキシコとの2ヶ国のみ。
 明らかに出遅れています。
 やはりボトルネックになっているのは、農業問題なわけです。
 食糧自給率は国力を維持する上で非常に重要なものです。
 食糧自給率というものは、国際社会での発言力というものの背景に大きな影響を及ぼす重要なファクターであると考えられます。
 もちろん、これは鎖国をして国際社会から孤立するような方向性を想定してのことではありません。
 しかしながら、いざとなったら自国で食料が賄えるという要素は、国際社会で日本が活動していく上で、やはり重要な意味を持っているわけです。
 では、日本の食糧自給率がどれぐらいかと言いますと、40%です。
 これは先進7ヵ国では最低です。
 少なくとも現在の水準は維持しなければいけない。できれば、少しずつでもいいからこれを上昇させていかなければいいけない、というのが日本の食糧自給率の現状です。
 食糧自給率は国内農業の保護政策、とりわけ関税によって維持されています。
 具体的には輸入農産物に高い関税を課すことによって、価格競争力に劣る国内農家を保護しているわけです。
 しかし、FTAを進めていくためには、この関税を引き下げる、或いはもっと進んで関税を撤廃していかなければならない。
 ここに、大きなジレンマがあるわけです。 

 この問題の解決策として、国内農家への助成金制度というものが言われていますが、わたしはこの制度について非常な疑問を持っています。今回言いたいのは、実はこのことなのです。 
 これは、具体的には「直接支払い制度」(土地利用型の作物と面積に応じて農家に助成金を支給する政策)と言われているものです。
 つまり、関税を引き下げて、安い輸入農産物が入ってくるようにはなるが、国内農家には助成金を直接出して保護をしようというわけです。
 一見良さそうに思えるこの制度ですが、しかし、考えてもみてください。
 たとえば、先ほどのコメの例で言いましょう。
 日本米は、現在だいたい10kg5000円ぐらいが相場です。
 先ほどの10kg1000円のカリフォルニア米が、関税が無くなってそのままの値段で売られるようになったとしましょう。
 さすがに、1000円に対して5000円では日本米はなかなか売れるものではありません。
 そこで日本米も1000円まで値下げをして販売したとします。
 仮に日本米の原価が3000円だったとすると、10kg売れる度に、2000円の損失となる、いわゆる逆ざやとなるわけです。
 売れば売るほど損が出る。それを国からの援助をもらうことで穴埋めし、生計を立てていく。
 果たして、このような状態が健全な産業といえるでしょうか?
 わたしは、少なくとも逆ざやではなく、利ざやが1円でもある状態でなければ、とても健全なものにはならないと思います。

 そこで、日本の農業が生き残る道には2つの方向性があると考えられます。
 1つは、「高級ブランド化」です。
 たとえば、ブランド米として知られる魚沼産コシヒカリは、10kg8000円でも売れています。
 有機・無農薬など、日本産の付加価値の高い農産物は価格が高くても非常に強い競争力を持っており、国産の農産物の一部は中国などにも輸出され、珍重されています。
 こういった高級ブランドとして通用する高品位の農産物の生産に特化することによって、低価格の輸入農産物との棲み分けをしていくということです。
 そしてもう1つの方向は、「合理化・大量生産」です。
 確かに日本の人件費は中国などと比べると高く、価格競争力に差が出来てしまうのは仕方がないようにも思えるのですが、しかし、果たして日本の農業はこれ以上出来ないというぐらいにコスト削減や効率化を突き詰めたものなのでしょうか。
 わたしは、必ずしもそうではないと考えています。
 関税などによってお国からの過保護を受けつづけてきた日本の農業には、無駄も多いのではないかと思うのです。
 例えば、株式会社による農地取得が規制改革特区での焦点になっていますが、これなどは合理化・大量生産による改革を推し進めるエンジンになるものだと考えています。
 兼業農家で仕方無しに続けているような農家などから、株式会社が農地を買い集め、合理的な大量生産をすれば、必ずコストを削減して効率的な農業経営ができるはずです。
 例えば、原価3000円だったものを1500円にまで落とす。品質面では「高級ブランド」程には及ばないまでも輸入品よりは優良なものを作り、これを2000円で売る。
 この場合、利ざやは500円。必ずしも大きくはありませんが、これを大量生産・大量販売していくわけです。
 こういう方向性でいけば、やはり1000円で売られる輸入農産物とも棲み分けをしていくことができるはずです。
 「高級ブランド」に対して、「準高級ブランド」といったところでしょうか。
 いずれにしても、これらが国内向けに通用するのであれば、当然それは輸出品としても通用するはずです。
 輸入・輸出が拮抗してくれば、食糧自給率は100%。輸出が増えれば150%や200%とすることもできます。
 お互いに関税がない、自由貿易協定での農業というものは正にこうゆうものだと思うわけです。

 つまり、商品としての国際競争力を高める以外に日本の農業の生きる道はないと思うわけです。
 このことを大前提として、「直接支払い制度」はあくまで「過渡的」或いは「補助的」な保護制度と位置付けなければいけないと思うわけです。
 例えば、売値が2000円に対して原価3000円だとすれば、1000円の逆ざやです。
 これを原価を削減し、2500円にまで下げられたとします。それでも500円の逆ざやです。
 この状態でも農業経営が続けらるように、例えば10kg売れる度に1000円分の補填が得られるような程度の「直接払い」を導入したとします。
 そうすれば、原価2500円のものを2000円で売ったとしても、プラス1000円の補填がありますから、500円の利ざやが発生する勘定となります。
 しかし、このような過保護な援助が無期限に続けられるようなことがあってはいけません。
 例えば、この1000円分の補填は1年ごとに100円ずつ削減されていく、というようなかたちが望ましいでしょう。
 農家はその間に、原価削減などに取り組むわけです。
 例えば、1800円にまで原価が削減できたとすれば、2000円で売った場合、補助金がなくなったとして200円の利ざやを得ることができます。これに更に200円分の補助金がついて、実質利益400円。例えば、このような程度のものであれば、補助的な制度として無期限に継続させてもいいでしょう。
 もちろん、「直接支払い制度」は取引ごとに給付するものはありませんから、ここでの例えはあくまでそういう金額相当になるように支払うという意味です。ですから、逆ざやを脱却するということは非常に重要な意味合いを持ちます。
 逆ざやでも農業経営を続けられるように、大幅な援助をするというのが「過渡的」保護。
 逆ざやは脱却したが、薄利な状態でも農業経営ができるように助成をするのが「補助的」保護というわけです。

 農業改革の方針はこのような考え方で進めるべきだろうというのが、わたしの考えです。
 とくに真新しいことや奇抜なことを言っているつもりはありませんが、こういう基本的な方法論があまりにも語られていないというところに大きな問題があるのではないかと思います。
 FTAによって貿易を活性化させるという経済の基本戦略についてもそうです。
 とにかく、この国に足りないのは「国家戦略の全体的なビジョン」です。
 政治がこういうことをきちんと語らないのも問題ですが、わたしたち一人一人がちゃんと当事者意識をもって考えていくということも非常に大事なことなのだとわたしは思います。

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2004.11.26

モラルの低下というとても難しい問題

 公金を私物化する公務員の不祥事が後を絶ちません。
 もちろん、公務員全員が腐っているなどというつもりはないのですが、全体的にモラルが低下しているということは間違いないのないところだと思うのです。

 例えば、わたしの甥の通う公立小学校の担任教師は、ちょくちょく遅刻をするのだそうです。
 また、こちらは公立ではありませんが、先日は中学校教諭の体罰事件がありました。

同志社中教諭が生徒に体罰 「いじめ抜く」と暴言も

 京都市の同志社中学(丹沢登志郎校長)で10月、保健体育の男性教諭(62)が体育祭練習中に、3年生の女子生徒の頭をたたくなど体罰を加え「おれの前に姿を見せたらいじめ抜く」などと暴言を浴びせていたことが25日、分かった。
 止めに入った3年生の男子生徒も振り払われて転倒。いずれもけがはなかったが、同校は教諭を厳重注意し、生徒と保護者に謝罪した。
 同校によると、教諭は体育祭前日の10月6日午前、1年男子の競技をマイクを使って指導していた。音量が下がったため放送席に注意した際、通り掛かった女子生徒に「声が大きくてうるさい」と言われたことに立腹。生徒の頭をたたき、髪の毛を引っ張って頭を揺さぶったという。

山陰中央新報:FLASH24:社会・科学より

 わたしは、基本的には「しつけ」のための体罰自体に反対はしません。
 しかし、だからといって教師が身勝手な理由でかんしゃくを起こして手をあげるというのは、これはまったく認められません。
 雨が降ると学校を休んでしまう教師。
 女子児童にセクハラをする教師。
 「立ち歩き」を止められない教師。
 わたしが子供の時には考えられないほど問題教師の数が増加しています。
 これでは、教員全体のモラルが低下していると言わざるを得ない。
 そうであれば、もはや「しつけ」のための体罰を容認することも出来なくなってしまいます。

 モラルが低下しているのは、公務員や教員だけではありません。
 雪印。三菱自動車。UFJ銀行。西武鉄道。
 そして、今度は環境対策という非常に公共性の高い、正に CSR(企業の社会的責任) に属する分野の事業において、卑劣な詐欺事件が発覚しました。
 当事者は日本を代表する財閥系の大企業、三井物産です。

三井物産: 排ガス浄化性能を偽る 装置2万台、交換へ--1都3県ディーゼル車規制

 三井物産は22日、東京都から承認を受けて販売したディーゼルエンジン向け粒子状物質除去装置(DPF)の試験データをねつ造していたと発表した。DPFは1都3県で条例化されている排ガス規制に対応するため、大型トラックなどに取り付ける装置。粒子状物質の除去率が基準値の7~8割しかないにもかかわらず、基準値をクリアしたとの偽りのデータを提出し、都から承認を受けていた。同社は同装置の製造・販売から撤退、03年以降販売した約2万1500台について、無償で代替品を提供するなど対応する。

MSN-Mainichi INTERACTIVE 企業より

 まったく、日本はどうなってしまったのか。
 どうすればいいのか。
 悲しくなってしまいます。

父に反発、母に暴力…両親と姉殺害で逮捕の28歳男

 茨城県土浦市の自宅で両親と姉を殺害したとして逮捕された飯島勝容疑者(28)が、土浦署の調べに対し、厳格な父親への反発から「小学生のころから母親に慢性的に暴力を振るっていた」と供述していることが25日、わかった。
 同署の調べでは、勝容疑者は地元の私立高校を卒業した後、コンピューター関係の専門学校に進学したが、4か月で退学。ガードマンなどのアルバイトも長続きせず、家に引きこもった状態だったという。
 親類の女性によると、市立博物館副館長の父親一美さん(57)は厳格な性格。就職するよう説得を続けて勝容疑者と口論が絶えず、妻の澄子さん(54)が取りなしていた。

YOMIURI ON-LINE / 社会より

 ニートという、職業にも学業にも職業訓練にも就いてない、就こうとしない若者が急増し、社会問題となっている最中にニートの引き起こしてしまったこの事件。
 問題は複雑で、非常に難しい。
 しかし、わたしが強く思うのは、問題の根源は、教育にあるのではないかということです。
 学校がおかしいということ。若者がまっとうに社会に出られないということ。
 教員、家庭、いろいろと根は深い。
 しかし、ずっと手をこまねいてばかりいるわけにはいきません。
 どうすればいいのか、皆が問題意識をもって考えることがとりあえず必要なのだと思うのです。

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2004.11.20

北朝鮮問題の総合的戦略

 そろそろ腹を括って戦うべきときが来ているのではないでしょうか。
 北朝鮮のことです。

北朝鮮の態度は高圧的だった

日朝協議の詳細判明 北、国交正常化へ高圧的態度 日本側は終始防戦

 平壌で先週、開かれた日本人拉致問題に関する日朝実務者協議の詳細なやりとりが十九日、政府の内部資料から明らかになった。北朝鮮側は高圧的に拉致問題の幕引きと、国交正常化交渉の再開を迫っているのに対し、日本側は終始防戦に追われ、「北朝鮮なりに努力がみられた」とする外務省の説明と、協議の実態とはかけ離れていることが浮き彫りになった。(産経新聞)
gooニュース

 そもそも拉致は明らかに国家ぐるみの工作であって、北朝鮮の独裁体制を考えれば、それを指揮したのは金正日国防委員長以外にはありえないわけです。その金正日体制の北朝鮮政府を相手にいくら通常の「外交交渉」をしたところで、拉致問題の抜本的解決など到底できるわけがありません。
 非人道的な現行の独裁政権は、最終的には「瓦解」に追い込む必要があると考えるべきでしょう。
 問題はどのようにして政権を瓦解させるか、そしてその後にどのようにして民主的な国家体制として「復興」させるのか、という「総合的戦略」にあると思います。
 とりあえず北朝鮮が認めていた拉致被害者と家族を無事に帰国させることができました。
 ブッシュ大統領が再選され、今後4年間のアメリカの体制も確定しました。
 となれば、これはもうそろそろ動くべきときではないかと思うわけです。
 その時には、当然、日本の経済制裁は行うべきだと思いますが、しかし、日本が単独でそれだけをやっても仕方がない。
 重要なのは総合的戦略です。
 イラクのように世界の警察を自認するアメリカに単独行動をさせてはいけない。
 しかも、この問題では日本は明らかな当事者なのです。
 日米を機軸に総合戦略を組み立て、それに韓中露、そして国連を絡めながら、動いていく必要があると考えます。
 手法は色々とあると思いますが、基本的には経済制裁で体制を瓦解させることができるだろうと思います。
 もちろん、核とミサイルには十分な注意が必要です。
 しかし、その上で、ある程度のリスクは、もう腹を括ってかかるしかない。
 ならず者国家の珍妙な脅しにいつまでも世界が振り回されつづけるわけにはいかないのです。

 ブッシュ大統領とは盟友関係にあるとされる小泉総理ですが、願わくばブッシュ大統領との戦略対話を実現し、早々に総合戦略の立案と実行に取り掛かって欲しい。
 小泉総理が歴史に名を残すことに腐心するのであれば、それはなし崩し的な国交正常化ではなく、このような「瓦解→復興」のプログラムにこそ力を注ぐべきだと、わたしは思います。

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2004.11.17

フィレンツェ―芸術都市の誕生展

 上野公園の東京都美術館で開催中の「フィレンツェ―芸術都市の誕生展」に行ってきました。
 ルネサンスの写実的な絵画や彫刻の精緻な美しさにすっかり心を奪われてしまいました。
 その中でも、ロレンツォ・ヴァイアーニが描いたコジモ・デ・メディチの夫人「エレオノーラ・ディ・トレドと子息ガルツィア・デ・メディチの肖像」は、圧巻でした。興味深かったのは夫人が身につけている衣服。その生地の生成りといい、仕立てといい、デザインといい、非常に高品質なものだと分かります。また、装飾品なども相当に精巧なものです。
 こういう洗練されたものを作っていたという技術の水準の高さ、そしてそれをまるで写真のような写実性で再現した絵画の技術の素晴らしさには、ルネサンス期の文化の高度さ、洗練の程がまざまざと現われているように思いました。

 それから、今回の美術展では、「ミュゼナビ」というヘッドホンの付いたPDAタイプのナビゲーションシステムがレンタルできるようになっており、これを使うことで、作品ごとにテキスト、画像、音声を選んで案内を受けることができるようになっています。
 操作性に多少ストレスを感じましたが、これはなかなか面白い試みだと思いました。
 また、現代のIT技術を駆使して、15世紀、16世紀の文化を堪能するというコントラストにも、なにか不思議な感慨がありました。
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2004.11.12

首相の横暴を放置してはいけない

 果たして、こんな横暴な発言が許されていいものなんでしょうか。

党首討論: 非戦闘地域の定義は「自衛隊が活動する地域」--小泉首相  ◇「イラク」巡り党首討論

 ◇岡田代表「非戦闘地域の定義は」/小泉首相「自衛隊が活動する地域だ」

 小泉純一郎首相と民主党の岡田克也代表による党首討論が10日、参院国家基本政策委員会で行われ、イラクへの自衛隊派遣延長問題を中心に議論した。岡田氏がイラク復興特別措置法で定める派遣要件の「非戦闘地域」の定義を聞いたのに対し、首相は「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ」と説明。「現地のみなさんから『一番苦しい時に助けてくれた』と評価を受けるような活動を今後も展開したい」と述べ、派遣延長に強い意欲を示した。

MSN-Mainichi INTERACTIVE 政党
より


 「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」
 これはまさに小泉首相の本音なんでしょうが、こういう滅茶苦茶なことを国家の長が国会という場で平然と語って、それで許されてしまうというのは、もはや国会は法治国家の民主議会の意味を成していないという他はないです。
 アメリカとの同盟関係、とりわけブッシュ大統領との信頼関係に基づいて、自衛隊派遣というものが為されているのであり、法的な位置付けなどは只のこじつけでしかない。だから、「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」でいいんだというのが首相の論理になるのでしょうが、これはあまりにも酷い。
 イラク特措法では、自衛隊は「非戦闘地域で人道復興支援活動をする」ということになっており、彼らには戦闘状態に対応するような装備も指示・命令系統もないわけです。もちろん、自衛隊の方々は、日本のために命をかけるという使命感を持って活動をされていると思いますが、こんな状態で、戦闘に巻き込まれて、右往左往した挙句、死んでしまうというようでは、死んでも死にきれないと思います。
 野放図な期間延長ではなく、イラク特措法と自衛隊の活動のあり方の根本を、しっかりと議論し、きちんとした法的根拠に基づいてかの地での活動に当ってもらうべきだと、わたしは強く思います。
 そして、不条理な論理を振りかざす首相の横暴には、断固として抗議していかなかればならない。先人たちが苦労をして作り上げてきた法治国家、民主政治を守るためには、今回のような首相の横暴は許してはいけないのだと思います。

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2004.11.04

海賊女王グレース・オマリーのこと

 ディスカバリー・チャンネルで『伝説の女性戦士』というシリーズをやっているのですが、その中の一編、『グレース・オマリー』を観ました。

グレース・オマリー
15世紀アイルランドで、海賊女王の異名をとるグレース・オマリー。船舶の操縦にかけて、彼女の右に出る女性はいなかった。 偉大なる略奪者にして最高司令官。海における窃盗と殺人の指導者とも言われた女性だ。エリザベス1世とも会見したという。その他にも、ギャンブラー、貴婦人、反逆者など、様々な顔を持つオマリーの数奇に満ちた生き様に迫る。

 彼女の生き様、人生。非常に感動しました。
 また、世にある女海賊のイメージ、その原型は彼女、グレース・オマリーだったのだということが分かり、新鮮な驚きがありました。
 グレース・オマリーの生きた15世紀と言えば、日本は戦国時代。
 やはり、旧弊に囚われない革新的な人材が頭角を現した時代でした。足軽から天下人に成り上がった豊臣秀吉などはその代表と言えるでしょう。
 しかし、日本にはグレース・オマリーのような女性はいませんでした。信長の妹で浅井長政に嫁いだお市の方やその三人の娘たちのように腹の据わった女性はいましたが、女性は基本的には内にあって家を守るもので、男に代わって戦士として、戦士の長として、一族を束ねて戦うという、そういうスタイルは当時の日本では有り得ないことだったと思います。
 しかし、グレース・オマリーはそれをやった。
「オマリー族唯一の男性は女性だ」
 という冗談が残っているといいます。これはたいへんおもしろいことだと思います。
 また、武勇だけでなく、海運、商取引や軍事面においての戦略にも長じていたというグレースですが、更に感動的なのは、彼女は美しく、恋愛など女性としての人生も満喫したという事実です。
 非常に魅力的な女性だと思いました。
 しかし、グレース・オマリーのことは、文献などにはほとんど残されていないといいます。
 つまり、アイルランドやイギリスにおいても、女性としての枠を超えて活躍したグレースの生き方は、当時の価値観からすれば禁忌のようなものだったということなのでしょう。

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