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2004.08.28

規制に縛られる酒文化

 サッポロホールディングスが6日発表した2004年6月中間期の連結経常損益は32億円の黒字(前年同期は88億円の赤字)だった。猛暑効果に加え、低価格のビール風炭酸アルコール飲料「ドラフトワン」のヒットでビール事業の利益が拡大した。ビール事業の好調がけん引し、2004年12月期の連結経常利益は前期比2倍の147億円を予想、過去最高だった1987年12月期を更新する見通し。

NIKKEI NET:総合企業情報より

 「ドラフトワン」の売上が好調なんだそうです。
 ビール業界では、ビールよりも税率の低い発泡酒に売上の比重が移って久しいですが、「ドラフトワン」は麦芽を一切使わないため、ビールでも発泡酒でもなく、「雑酒」という分類になるのだそうです。そのため、発泡酒よりも更に税率が低く、低価格販売ができるというわけです。
 でも、そもそもこれっておかしいと思うんですよね。
 発泡酒ブームが起きた数年前からずっと思ってることなんですが、どうしても釈然としないのです。

 発泡酒にしろ雑酒にしろ、決して原材料が安くなっているわけでも製造工程の効率化などで安くなっているわけでも何でもないんです。
 価格を決めているのは税金です。
 税法上の分類と税率というレギュレーションの中でこういう現象が起きている…。
 これは、努力して新しいビール風飲料を開発している人たちにはたいへん申し訳ないとは思うのですが、ずばり言ってしまうと、
「珍現象」 
 と呼んでもいいようなことだと思います。
 たとえばアルコールの度数によって税率が違っていて、それにあわせて低アルコールだけどビールの風味が味わえる、というようなことをやっているのなら、まだ理解はできるんです。
 でも、全然そういうことじゃない。
 わたしが言いたいのは、分類と税率、その規準っていったい何の根拠があるんだということです。
 こんなものには、絶対に何の意味もないはずなんです。

 税制を整理して考えてみますと、まず最終消費過程において消費税という税があります。
 基本的にはこれだけでいいはずなんです。
 ただ、アルコール類には余計に税率を課すというのは各国でも行われています。これは、嗜好品ですし、健康上の害もあるからということなのでしょう。
 で、日本の場合それが酒税ですよ、と。
 …ここまではよく分かる話なんです。
 ただ、分からないのは、どうして細かい分類によってその税率が大きく違ってしまうのかということなんです。
 規制というものは、それによって国民にどういった得があるのかということが根本になければおかしいんじゃないんでしょうか。

 そもそも日本の酒税というものは、日露戦争の戦費調達のために導入されたものだといいます。
 行政は、古くから農家が作っていた「どぶろく」を密造酒として厳しく取り締まり、その習慣、文化を根絶やしにしました。
 そこから始まり、年を経るたびに規制を積み重ねていった酒税制。今となってはその数字や分類の根拠がよく分からない「規制ありき」の規制が根を張りめぐらせています。
 日露戦争から100年。
 21世紀になり、「どぶろく」は一部の規制改革特区によって復活をしました。
 国民の総合的な利益、文化、いろいろなものを考えて、「はじめからこういう決まりになっている」という縛りを外して、ゼロベースで規制を見直すべきなのだと思います。

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2004.08.14

食器洗い洗剤で景況を考える

 久々のコラムなのに唐突なテーマで恐縮ですが、今回は食器洗い洗剤から最近の景況を考えてみたいと思います。
 「キュキュット」ってご存知でしょうか?
 最近売り出し中の新商品なんですが、実は今、我が家で使用しておりまして、これがなかなかに便利。
「♪すすいだ瞬間キュキュッと落ちてる」
 というCMのとおり、すすぎのキレの良さが売り。
 先日も鼻歌まじりに食器洗いをしながら、キュキュットのキレの良さを実感していたのですが、ふと疑問に思ったのが、どうして今までの洗剤はこうじゃなかったんだろう、と。
 で、キュキュット以前のトレンドはどうだったんだろうと振り返ってみると、思い当たったのが、「ファミリー・パワージェル」。
 これは、スポンジの中にジェル状の洗剤が留まって長持ちするというもので、いわばキュキュットのキレの良さとは対極に位置するコンセプトです。
 つまりこれは、ファミリー・パワージェルの「長持ち→お買い得感・節約感」から、キュキュットの「キレの良さ→効率」へと消費者ニーズが移行していることを示していて、その変化の背景には景況の好転、消費者マインドの好転があるのではないか、と。
 そんなことを考えながら、食器を洗ったのでした。

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